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特定技能【宿泊業】で外国人を雇用するための受入れ側の条件
2019.07.10

2019年4月に在留資格「特定技能」が新たに創設され、ホテルや旅館などの宿泊業で、外国人材を雇用することができるようになりました。 これまでは外国人には許可されていなかった業務も行うことができるようになり、人材確保の道がぐっと広がりました。 宿泊業で特定技能の外国人を雇用するための受け入れ側(企業・団体・事業者)の条件について解説します。

ホテルや旅館【宿泊業】での外国人の業務の範囲

宿泊業の特定技能の在留資格で、外国人を従事させることができる業務は、「フロント」「企画・広報」「接客」「レストランサービス」等の宿泊サービスです。

  • フロント
  • 企画・広報
  • 接客
  • レストランサービス等

また、館内でのお土産物などの販売、館内の備品の点検や交換といった関連業務を行うことも差し支えありません。売店での販売業務やベッドメイキングなどの業務も可能です。 ただし、関連業務のみを担当することは認められません。かならず、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に幅広く従事させる必要があります。 また、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を特定技能外国人に行わせることはできません。ここでいう「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことです(わかりやすくいうとコンパニオンサービス的なもの)。 こちらも注意してください。

フロント、企画・広報、接客、レストランサービスが可能に!

これまで宿泊業では、大学や、関連性のある専門学校などを卒業して、企画・広報や経理といった専門職としての就労でないと、外国人を雇用することはできませんでした。 または、経験10年以上の外国料理の調理師などに対象者が限定されていました。 それが特定技能の制度により、現場でのさまざまな業務に拡大しました。 特定技能ビザでは、特別な学歴や経験がない外国人でも、必要な試験に合格すれば雇用(就労)が可能です。 国内の留学生などから採用することもできますし、海外で就労希望者を集めて多くの人材の中から採用することもできます。

(注!)宿泊業のうち、特定技能での雇用が不可の業態

ただし、特定技能外国人を雇用することができる宿泊分野の対象は,旅館・ホテル営業の形態かつ以下の条件を満たすこととされています。 ・ 旅館業法に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること ・ 風俗営業法に規定する「施設」に該当しないこと 旅館業法上の旅館業のうち、特定技能外国人を雇用できるのは、「ホテル営業」「旅館営業」だけです。 「簡易宿所営業」「下宿営業」は、特定技能外国人を雇用することはできません。 また、ラブホテルといった風俗営業法に該当する施設での就労もできません。 旅館業許可証で営業の種別を確認しておきましょう。申請時には旅館業許可証(旅館・ホテル営業許可書、旅館業許可書)の提出が必要です。

【特定技能の雇用が認められる業態】

ホテル  洋式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業 旅館  和式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業。いわゆる駅前旅館、温泉旅館、観光旅館の他、割烹旅館が含まれる。民宿も該当することがある

【特定技能の雇用が認められない業態】

簡易宿所  宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設けてする営業。例えばベッドハウス、山小屋、スキー小屋、ユースホステル、カプセルホテルなど
下宿  1月以上の期間を単位として宿泊させる営業

ホテルや旅館で特定技能の外国人を雇用する要件

ほかにも、特定技能の外国人を雇用するには、受け入れ機関である企業の要件と雇用の要件が決まっています。 特に注意しておきたいものを7つ上げました。

  • 1.給与水準が同じ業務に従事する日本人と同等かそれ以上
  • 2.直接雇用のみ可で派遣は不可
  • 3.雇用の年数は最長で通算5年まで
  • 4.雇用の状況・外国人材の受入れ体制
  • 5.支援責任者・担当者の選任と言語対応
  • 6.適切な支援計画
  • 7.協議会への加入

以下に詳しく解説します。

1.給与水準が同じ業務に従事する日本人と同等かそれ以上

雇用条件には、以下のような基準があります。

  • 報酬額が同じ業務に従事する日本人と同等以上であること
  • 社会保険や労災、労働条件等について、外国人であることを理由に差別的な取り扱いをしないこと
  • 一時帰国を希望した場合、有給を取得できるものとしていること
  • 帰国旅費を負担できないときには、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされる処置を講ずること

宿泊業は、季節による繁忙期と閑散期の変動があることが多いです。これについては、1年単位の変形労働時間制が認められています。

2.直接雇用のみ可で派遣は不可

宿泊業での特定技能の外国人との契約は、ホテル・旅館との直接雇用のみ認められます。 他社へ派遣する、または他社から派遣されてくるといったことは不可です。

3.特定技能1号外国人の雇用は5年間まで

特定技能1号外国人の在留の通算期間は、上限が5年と定められています。 特定技能の在留資格では転職が認められているため、他社で宿泊業の特定技能1号の在留資格で働いていた外国人を雇用する場合は、それまで他社(または自社で)特定技能の在留資格で働いていた期間を5年からマイナスした期間のみ雇用が可能です。 特定技能での最長5年間の就労期間を終えた外国人は、帰国するか、特定技能以外の在留資格に変更しなければなりません。 多数の外国人を雇用するケースでは、5年という上限を踏まえ、時期をずらして定期的に雇用していき、順次入れ替わるようにするといった採用計画が考えられます。

4.雇用の状況・外国人材の受入れ体制

在留資格の申請においては、雇用の状況や外国人材の受入れ体制などについて審査されます。

  • 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
  • 1年以内に受入れ機関の責に帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
  • 報酬を預貯金口座への振り込み等により支払うこと

5.支援責任者・担当者の選任と言語対応

・中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績があり、かつ役職員の中から支援担当者および支援担当者を選任していること(兼任可) ・外国人が十分理解できる言語で支援を実施できる体制があること ※この2つについては、支援業務の全部を「登録支援機関」に委託することで基準を満たすことができます。

6.適切な支援計画

特定技能1号外国人を雇用する際には、受け入れ機関=特定技能所属機関(企業・団体・事業者)は適切な支援計画を作成し実施する必要があります。 ① 事前ガイダンス ② 出入国する際の送迎 ③ 住居確保・生活に必要な契約支援 ④ 生活オリエンテーション ⑤ 公的手続き等への同行 ⑥ 日本語学習の機会の提供 ⑦ 相談・苦情への対応 ⑧ 日本人との交流促進 ⑨ 転職支援(人員整理等の場合) ⑩ 定期的な面談・行政機関への通報 ……これらの支援計画は、雇用する側、企業の義務となっています。 しかし、企業自らが支援責任者と支援担当者を置き、これら全てを実施するのは、人員配置、コスト面などから躊躇されるかもしれません。 そこで、これらの支援計画の全部または一部を「登録支援機関」に委託することができます。全部を委託した場合は、外国人を支援する体制があるものとみなされます。

7.協議会への加入

特定技能外国人を受け入れる宿泊業の事業者は、「宿泊分野特定技能協議会」への加入と協力が必要です。

  • 協議会に加入していること
  • 協議会に対し必要な協力を行うこと

はじめて特定技能で外国人を受け入れる事業者は、当該外国人の入国から4か月以内に協議会へ加入し、協議会のほか国土交通省が行う調査や指導に対して協力する必要があります。 なお、協議会については、7月10日現在で、まだ詳細が発表されていません。 詳細がわかりましたら当ページでも情報をお伝えします。

宿泊業で雇用できる特定技能外国人の要件

特定技能の在留資格は、5年間の就労が認められる特定技能1号と、年数に制限のない特定技能2号があります。 このうち、宿泊業で認められているのは特定技能1号のみです。この特定技能1号の在留資格を得るための主な要件は以下の5つです。

  • 18歳以上であること
  • 宿泊業の技能評価試験に合格
  • 規定の日本語能力試験に合格
  • 保証金の徴収等をされていないこと
  • 送り出し国で遵守すべき手続きが定められている場合は、その手続きを経ていること

宿泊業の試験は国内のほか海外でもミャンマーから実施決定

2019年9月現在では、日本国外では試験が行われていないため、いますぐ雇用できる宿泊業の特定技能の外国人は、4月の国内試験の合格者でその他の基準を満たす人だけです。
国内試験は10月にも実施されました。

海外での試験は、2019年10月ミャンマーから実施

ミャンマーで10月27日に宿泊業の技能試験が行われます。
合格発表は11月15日。
当社では、現地子会社でサポートを行っている受験生の企業への人材紹介が可能です。

宿泊業で特定技能をうまく活用し、人手不足解消へ

特定技能の制度により、これまで外国人に任せることができなかった業務を担当させることができるようになりました。これは、宿泊業を営む事業者にとって、人手不足を解消する大きなチャンスです。 2018年の訪日外国人旅行者数は3119万人なり、ついに3000万人を突破しました。

一方、宿泊業の労働者数は、今後の旅行者数の増加に伴い、5年後までに10万人の人手不足が生じると見込まれています。 この状況に対応するために、向こう5年間で最大2万2000人の宿泊分野の特定技能外国人を受け入れることが決定しました。

しかし、10万人の不足に対して2.2万人の受入れですから、これでもまだ人手が不足することは変わりありません。特定技能の在留資格者をめぐる争奪戦もすでに始まっています。

 

特定技能外国人を雇用する際には、受け入れ機関である企業においても、さまざまな義務が課せられており、雇用条件や支援計画の実施について、しっかり理解した上で採用を行う必要があります。

さらに詳しい内容や、最新の情報について、こちらのページでも随時情報を更新してお届けします。

また、宿泊業の事業者様向けに、オンラインでの特定技能外国人雇用無料勉強会を開催しております。お気軽にご相談ください。 現地ミャンマーでの説明会&面接会も12月に開催いたします。

詳細につきましては、下記のフォームよりご連絡ください。

0120-979-868
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